コン・リー(鞏俐、Gong Li)
王家の肖像 > cast >チャン・イーモウ育ちで、運命的な悲劇を演じれば天下一品の女優。「中国の山口百恵」といわれた。『2046』では、暗い過去と暖かい母性を併せもつ賭博師を強烈な存在感で演じた。
1965年12月31日(11月16日の説もある)、中国・遼寧省瀋陽市に生まれる。両親はともに大学教授。生後すぐに山東省済南県へ移住。大学受験に失敗したため舞台女優を志し、北京にある国立の俳優養成所へ入る。その後、85年に同じく北京の名門である北京中央戯劇学院の演劇科に入学。この学院は、中国系だけでなく、海外の名作を舞台化するという画期的な学校で、輩出した俳優は蒼々たるメンバーだ。
学院の2年生だった87年、ロシアの劇作家アルブーゾフ『イルクーツク物語』の稽古中に、当時俳優でもあったチャン・イーモウ監督が『紅高粱』(紅いコーリャン)(87)のヒロインを探しに来て、コン・リーを発見。同作品で鮮烈にデビューを果たした。なお、コン・リーはこの作品の役作りのために、実際に農村に住込み、ロバや動物たちと一緒に暮らしたそうだ。自分の人生を変えたのは『紅高粱』(紅いコーリャン)との出会いだったと、彼女は後日談で語っている。もちろん、チャン・イーモウとの出会いも彼女の女優人生の中で大きなものであり、以後、同監督の作品には欠かせないヒロインとして『ハイ・ジャック-台湾海峡緊急指令』(88)、『菊豆』(90)、『紅夢』(91)、『秋菊の物語』(92)、『活着』(生きる)(94)、『揺啊揺!揺到外婆橋』(上海ルージュ)(95)などに出演した。
コン・リーの演じる女性は、過去に大きな心の傷を負った女性や、慣習的なしがらみに呪縛された女性などの役が多く、どちらかというと口数が少ない。なかでも典型的な作品が、91年の『紅夢』だろう。ここでは地方の地主の第4夫人として嫁いだ女性を見事に演じ、ヴェネチア国際映画祭で百花賞の主演女優賞を獲得。作品自体は、アカデミー賞・外国映画賞にノミネートされただけでなく、ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した。また、同年、広東省での洪水救済のために作られた『豪門夜宴』にゲスト出演し、レスリー・チャンやアンディ・ラウらと共演した。
その後、チェン・カイコー監督の大河三部作『覇王別姫』(さらば、わが愛-覇王別姫)(93)、『風月』(花の影)(96)、『始皇帝暗殺』(99)でも世界的な評価を得て、97年にはカンヌ国際映画祭の審査員も務めた。93年にチャウ・シンチー(周星馳)と共演した『唐伯虎點秋香』以後は、やや厳格な中国映画とは違って、エンターテイメントの香港映画にも慣れ、翌94年の『天女武闘伝』(シスター・オブ・ドラゴン-天女武闘伝)でブリジット・リンと共演し、カンフーまで披露した。
公私ともに濃密だったチャン・イーモウとの関係は、95年の『揺啊揺!揺到外婆橋』(上海ルージュ)とともに幕を閉じる。この作品でコン・リーは、演技を乗り越えた美貌と称賛され、作品の受賞も多数あった。その後は、チェン・カイコー監督の作品によく出るようになり、『風月』(花の影)(96)(レスリー・チャンと共演)、『始皇帝暗殺』(98)と続く。また、97年には『中国匣』(チャイニーズ・ボックス)で初の英語台詞に挑戦した。なお、93年に公開されたオリバー・ストーン監督の『Heaven & Earth』(天と地)では、脚本が気に入らないという理由で出演を拒否、製作側はコン・リーの英語が下手だと言っており、真相は分からない。
