biography - cast - column - film - gallery - goods - key - link - message - staff / sitemap - mail

ブエノスアイレス(1997年)

王家の肖像 > film > 

ブエノスアイレスブエノスアイレス(1997年、香港)
原題:春光乍洩/英題:Happy Together © Block 2 Pictures Inc.

初の本格的な海外ロケ。街の風景と人の心、男と男、先輩・後輩、息子と父、それぞれが引き合い反発し合う寓意(アレゴリー)の映像美が見物。イグアスの滝やエクレルール灯台の風景、軽快なアルゼンチン・タンゴなどが贅沢に披露されている。

  • ファイ(黎耀輝;Yiu-Fai Lai) : トニー・レオン(梁朝偉)
  • ウィン(何寶榮;Ho Po-wing) : レスリー・チャン(張國榮)
  • チャン(張) : チャン・チェン(張震)

ブエノスアイレス香港の真下にあるアルゼンチンを舞台に、レスリー・チャンとトニー・レオンがゲイの恋人を演じたことで知られるこの作品は、ウォン・カーウァイとクリストファー・ドイルの映像美が傑出した作品だ。40万フィート、7つの完成品をもつ『ブエノスアイレス』は、通常のカラー映像よりも、むしろ白黒やブルー調の映像を基調に、街並みや屋内の「風景」とキャストたちの「内面」を同時に浮き彫りにしており、見事な散文として仕上がっている。また、イグアスの滝、南米最南端ウスワイアのエクレルール灯台、そして煩雑な普段のアルゼンチンの街並みや埠頭の映像なども見逃せない。音楽にも適材適所を心得ているウォン・カーウァイがこの作品で選んだのは、ピアソラやフランク・ザッパをはじめ、「ククルククー・パロマ」という香港でも人気の曲やアルゼンチン・タンゴなどで、南米のノリをギンギンに楽しめる。

作品は、トニー・レオンによるナレーションに引っ張られた形で、ファイとウィン二人の一進一退の「恋」と、ファイとチャン二人が育む「友情」との二点が回想的に描かれてゆく。後半の一部、チャン・チェンによるナレーションにも注目したい。チャン・チェン演じるチャンは生まれたときから目が弱く、その分耳がとてもよく働くようになったとファイに語っている。チャンのナレーションは、耳を研ぎ澄ますことで得られた感性を吐露するかのようで、胸に染み込んでくる暖かみをもっている。

ブエノスアイレス,香港ファイを男性として演じたというトニー・レオンは、レスリー・チャン演じるウィンに対し父性を最大限に表現しているが、その父性をファイは、チェンに対し兄貴として接することで引き継ぎ、ウィンとの恋に決別する。アルゼンチンに残されたウィンと、故郷の香港へ帰るファイとのコントラストや、親子の仲が良いチャンと、父子が不仲なファイとのコントラスト、そして先にも触れた二人のナレーターといった対照は、二元論的な展開としてだけでなく内容面でも一考に値するだろう。また、このチャンという男性を作品に挿入したことで、ファイとウィンとの倦怠的な関係を際だたせただけでなく、映画全体に引き締まった感じを与えている。

香港の真下にあるアルゼンチンを舞台に、レスリー・チャンとトニー・レオンがゲイの恋人を演じたことで知られるこの作品は、ウォン・カーウァイとクリストファー・ドイルの映像美が傑出した作品だ。40万フィート、7つの完成品をもつ『ブエノスアイレス』は、通常のカラー映像よりも、むしろ白黒やブルー調の映像を基調に、街並みや屋内の「風景」とキャストたちの「内面」を同時に浮き彫りにしており、見事な散文として仕上がっている。また、イグアスの滝、南米最南端ウスワイアのエクレルール灯台、そして煩雑な普段のアルゼンチンの街並みや埠頭の映像なども見逃せない。音楽にも適材適所を心得ているウォン・カーウァイがこの作品で選んだのは、ピアソラやフランク・ザッパをはじめ、「ククルククー・パロマ」という香港でも人気の曲やアルゼンチン・タンゴなどで、南米のノリをギンギンに楽しめる。

ブエノスアイレス,トニー・レオン,レスリー・チャン作品は、トニー・レオンによるナレーションに引っ張られた形で、ファイとウィン二人の一進一退の「恋」と、ファイとチャン二人が育む「友情」との二点が回想的に描かれてゆく。後半の一部、チャン・チェンによるナレーションにも注目したい。チャン・チェン演じるチャンは生まれたときから目が弱く、その分耳がとてもよく働くようになったとファイに語っている。チャンのナレーションは、耳を研ぎ澄ますことで得られた感性を吐露するかのようで、胸に染み込んでくる暖かみをもっている。

ファイを男性として演じたというトニー・レオンは、レスリー・チャン演じるウィンに対し父性を最大限に表現しているが、その父性をファイは、チェンに対し兄貴として接することで引き継ぎ、ウィンとの恋に決別する。アルゼンチンに残されたウィンと、故郷の香港へ帰るファイとのコントラストや、親子の仲が良いチャンと、父子が不仲なファイとのコントラスト、そして先にも触れた二人のナレーターといった対照は、二元論的な展開としてだけでなく内容面でも一考に値するだろう。また、このチャンという男性を作品に挿入したことで、ファイとウィンとの倦怠的な関係を際だたせただけでなく、映画全体に引き締まった感じを与えている。

  • カンヌ国際映画祭(1997年):最優秀監督賞

舞台裏

トニー・レオンの演技

トニー・レオンの演技についてウォン・カーウァイは『恋する惑星』以後に安定したと評価しているが、この『ブエノスアイレス』ではその安定感を逆に潰したかったと話している。クランクイン前、トニー・レオンは、ゲイの親を持った息子の役をすると聞かされてアルゼンチンに乗り込んだが、実際は、自分がゲイの役をするということだったので悩んだそうだ。トニー・レオンがアルゼンチンに着いたときには、既にウォンの望むドラマが始まっていたということになる。したがって、演技の中ではトニー・レオンがレスリー・チャンを見守ったような関係が表現されたが、撮影の中では、レスリー・チャンやウォン・カーウァイがトニー・レオンを育てたという風にみることもできる。

ブエノスアイレス・摂氏零度/シャーリー・クワン

出演者の大幅なカット

キャストにある通り『ブエノスアイレス』には3人の男性だけが出演しているが、当初は女優の登場も考えエピソードの撮影を実際に行なった。しかし、ストーリーを簡潔に直接的なものに仕上げようとウォン・カーウァイは判断し、編集中に女優や女性たちの部分を全てカットした。

サッカーのシーン

『ブエノスアイレス』では後半にファイ(トニー・レオン)がサッカー場に現われるシーンが挿入されている。そこで繰り広げられているサッカーの試合は、ともにブエノスアイレスを本拠地とするチーム「ボカジュニアーズ」と「リバープレート」との対戦。ファイが観客席にいるのは庶民層・貧民層に支持が多いボカジュニアーズの方で、リバープレートの方は富裕層のファンによって支えられる。『ブエノスアイレス』が上映された97年当時は、もっぱらこの2チームがアルゼンチンのサッカー人気を支えていた。なおトヨタカップでは96年にリバープレートが優勝、2000年と2001年にはボカジュニアーズが優勝している。

この記事のフィードを取得