花様年華(2000年)
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花様年華(2000年、香港)
原題:花樣年華/英題:In the Mood for Love © Block 2 Pictures Inc.
クローズアップの手法と音の配置によって官能の気配を存分に出した作品。互いに歩み寄る二人がほとんど触れることなく恋情を極大限にまで引き延ばし、禁欲的に着られたスーツとチャイナドレスを伝って臭覚にまでエロスが忍び寄る。
- チャウ・モウワン(周慕雲):トニー・レオン(梁朝偉)
- スー・リーチェン(蘇麗珍):マギー・チャン(張曼玉)
- スエン夫人(孙太):レベッカ・パン(潘迪華)
- ホウ社長(何先生):ライ・チン(雷震)
- アー・ピン(阿炳):スー・ピンラン(蕭炳林)
舞台は60年代中期の香港。互いに配偶者をもちつつ惹かれ合う新聞記者のチャウ・モウワンと社長秘書のスー・リーチェンは、ジリジリと距離を詰めながらも接触できずにいる。自分が相手に惚れていると分かっていても、そして相手が自分に惚れていると気づいていても、それぞれのスーツと旗袍を脱ごうとしない。二人で小説を書くために借りたアパートの一室「2046」号室では連日にわたり逢瀬が繰り返されたが、決してスーツと旗袍が椅子に掛けられることはなかった。
この作品は、触れ合うということに不自由な二人の官能的な熱情を極限にまで引き出している。そして、性的描写が皆無に等しいからこそ、作品全体からは濃厚なエロスが匂いたち、強烈に鼻を突いてくるのだ。作品に映し出される映像美も見逃せない。雨の降る音と街角の電灯、皹が目立つ石壁と雨で舞い立つ霧などは、ときどきクローズアップされては、二人の官能劇に戻る。路上で愛を囁く彼らが家路につけば、再び霧に包まれた石の壁に焦点が合わされ、雨音も大きく引き出される。官能に支配された二人が残していった強烈な匂いを洗い流しているかのように。
舞台裏

チャイナドレス(旗袍)
スー・リーチェンを演じるマギー・チャンは、この作品で20着以上もの旗袍を着た。旗袍の出てくる映画を見倒したというデザイナーの中野裕通は、この作品で着られた旗袍が、他のどんな映画にもまして鮮やかなデザインで高品質だったと絶賛している。
ラウ・イーチョン(劉以鬯)
『花様年華』のクレジットには「特別鳴謝」として劉以鬯という当時まで無名だった香港作家の名前が記されてる。1日2万字の文章が書けることで知られるラウ・イーチョンはウォン・カーウァイが『花様年華』『2046』で霊感をえた人物で、小説家だけでなく、月刊誌『香港文学』の編集長、香港作家連合会の会長、香港文学研究会の会長など歴任してきた。- カンヌ国際映画祭(2000年):主演男優賞(トニー・レオン)
- 高等技術院賞(2000年):クリストファー・ドイル、リー・ピンビン、ウィリアム・チャン
