花様年華(花樣年華)
王家の肖像 > key >「花様年華」とは、基本的には花などの植物の模様が徐々に変化し、じっくりと時間をかけて満開になった様子である。人や人生そのものにも適用されるこの用語は必ずしも美しい状態だけを指すのではなく、時にはチェック柄、時には流線型など、美醜をともに含んだ「模様の歳月」というべき様態を表している。もっともニュアンスとしては紆余曲折を経た満開の花という肯定的な意味合いが強い。『2046』でコン・リー演じるスー・リーチェンがチャウ・モウワンの前から立ち去るとき挿入された「満開の牡丹のように」というフレーズも「花様年華」に近い。
さて、ウォン・カーウァイの映画『花様年華』には、1940年頃、当時随一の歌姫といわれた歌手チョウ・シュアン(周璇)の曲「花样年华」(花样的年华とも)がラジオから流れてくる。この曲はチョウ自身の主演映画『長相思』(1946年、香港)の中で彼女が歌ったもの。花のような若さと美しさを讃えるために若い女性に向けられたバラードだそうだ(『花様年華』サウンドトラック)。
ウォン・カーウァイは映画の中で、この曲がラジオ放送から流れてくるという状況を設定し、当時実在したブロードキャスターの声を使っている。映画ではチャウ・モウワンとスー・リーチェンが壁を隔て、背中合わせとなった格好でラジオから流れるこの曲を聴く。あの有名な曲「ハッピー・バースデー」のオープニング・フレーズで始まった「花样年华」が流れる中、チャウとスーは自分たちの関係や自分の配偶者との関係について、物思いに耽っていた。
