スウォーズマン-女神伝説の章(1992年、香港)
原題:笑傲江湖II-東方不敗|英題:Swordsman|監督:チン・シュウタン(程小東)
どんな忍術やカンフーを相手にしても必ず勝つ東方不敗。アクション作品としては強い東方不敗を、恋愛作品としてはか弱い東方不敗を楽しめる。
キャスト
- 東方不敗:ブリジット・リン(林青霞)
- リン(令狐沖):リー・リンチェイ(ジェット・リー、李連杰)
- イン(任盈盈):ロザムンド・クワン(關之琳)
- ラン(藍鳳凰):ファニー・ユン(袁潔塋)
- ツァイツァイ(烏鴉嘴):ミシェル・リー(李嘉欣)
- ヤン・ゴーハン(向我行):ヤン・イー・クゥアン(任世官)
- セン(向問天):ラウ・シュン(劉洵)
- 服部半蔵:レイ・チーホン(ウェイス・リー、李子雄)
- シーシー(楊詩詩):ユィアンアン(キャンディ・ユー、余安安)
みどころ
金庸の時代劇『笑傲江湖』を原作にしたこの映画『スウォーズマン-女神伝説の章』は、原作にもまして派閥の理解に苦しむが、その勢力図は笑傲江湖の内容紹介(外部リンク)に詳しいのでそちらに譲る。
さて、舞台は16世紀末の明朝下の 福建省福州(外部リンク)(明朝万暦22年)。この時期は、日本の戦国時代末期、豊臣秀吉が覇権を握った頃にあたる。映画の設定では、秀吉の天下統一に納得せずに日本を離れ倭寇となり、秀吉打倒によって巻き返しを計ろうとする一派がいた。その一派は甲賀忍者として知られる服部半蔵と、日本史では真田十勇士として服部と敵対する猿飛佐助とが構成する派閥。史実が不整合だが映画にはどうでもよく、日本史からこのような「影」の連中を舞台に引きずり出してきた点が大胆で面白い。もとい、彼らは福州に暮らす少数民族である苗族の勢力と結託し、中国の明朝(漢民族の王朝)の転覆をも同時に計画していた。彼らの実態は日本の忍者部隊で、先述したように服部と猿飛がボスになっている。そして彼らを従える武侠最強の達人が東方不敗だ。東方不敗は、苗族をルーツにした土着宗教である日月教の究極奥義を記した法典を手に入れるため、教祖のヤンを幽閉。そしてヤンの娘インや彼女の同門ランたちが、東方不敗率いる武術集団に復習を挑むというのが主なストーリー。そこに、リンをボスにした華山派という武術集団が巻き込まれ、東方不敗側VS日月教&華山派という対立構造が生じる。
見所は、なんといってもカンフー、忍術、剣術入り乱れたアクションにあるが、華山派リーダーのリンを演じるリー・リンチェイと東方不敗に扮するブリジット・リンとの恋愛も仄かだ。最終的には敵対する彼らだが、最後まで互いの愛を信じようという思いが強く確認できるし、敵だと知るまでの海でのデート現場もゆったりと描かれていてよい。また、武侠映画でド迫力なブリジット・リンだが、この『東方不敗』では刺繍画に縫い込まれた糸を解きながら、敵に向かって針を投げまくる武術を使う。恐らく映画史上でこれほど強いキャラクターも珍しいのではないかと思うが、実は針と糸を武器にする東方不敗の技の細かさと彼女の心の繊細さにはあまり注目されていないようだ。この作品では東方不敗の両面的な特徴をじっくりと楽しむことができる。もっとも、この両面性には日月教の究極奥義を手に入れた東方不敗に独特の理由があるのだが。
なお服装指導は、ウォン・カーウァイの片腕ウィリアム・チャン(張叔平)が担当している。また、主人公リンの恋人役ツァイツァイには、『天使の涙』のミシェル・リー。ちなみに、東方不敗の恋人役をつとめたユィアンアン(キャンディ・ユー、余安安)は、チョウ・ユンファ(周潤發)の元妻とのことだ。この作品の製作年だが、ポータルサイトの映画情報以下、さまざまなサイトで1994年となっている。続編となる『スウォーズマン-女神復活の章』が93年なので、この映画が94年上映とは考えられない。少数派だが92年が正しい。なお、この作品の原作は金庸『笑傲江湖』。
(2005年01月14日)
受賞
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