欲望の翼(1990年、香港)

原題:阿飛正傳/英題:Days of Being Wild © In-Gear Film Production

ウォン・カーウァイ監督「欲望の翼」人生の不安や都会生活の退廃感を打開すべく、自分勝手な主人公ヨディと彼を憎みきれない友達4人がエネルギッシュに動き回る。前半と後半でテンポや磁場が大きく変わる地殻変動が心地よく、キャストたちの表情や言動がとても活き活きしている。

キャスト

みどころ

ウォン・カーウァイの監督二作目となる『欲望の翼』は、鳥に見立てられた男の半生記だ。前作で描かれた都市的な暴力とは違って、この作品では肉体的な暴力だけでなく、精神的な暴力もたかが外れたように羽ばたいていて、あたかも、一義的な意味から自由になっているかのようだ。

原題「阿飛正傳」の「阿飛」は中国語でチンピラ、あるいは社会的に属するものがない破落戸(ゴロツキ)の意味をもっている。「阿飛」と呼ばれる主人公ヨディの半生は、文字どおり半生しか描かれていない。辛うじて青年期までの状況が示されるのは、義母が彼に出生と幼少期の秘密について語る箇所だけで、ヨディはフィリピンの実母の家を訪ねるものの接触を拒否される。逆にヨディは、サッカー場の売店で働くスー・リーチェンとダンサーをしているミミという二人の女と勝手気ままに付き合い、彼女たちからの愛を拒否し続ける。その結果、スーに憧れる警察官タイドや、ヨディの幼馴染みでミミに惚れているジャッキーもヨディに翻弄される。

欲望の翼ところが、後半部分でヨディを取り巻く地場が一気に崩れる。ヨディが実母をフィリピンへ訪ね、時を同じくして、それまでミミに告白できずにいたヨディの幼馴染みは彼女に告白し、タイドは警察官を辞め、かねてからの願いだった船乗りへ転職する。そしてミミはフィリピンへヨディを追う。そして、スー・リーチェンだけがサッカー場の売店で働き続ける。ヨディはフィリピンでもチンピラ的な生活を続けるが、それは「母」という存在が大きく影響を与えていることが分かってくる。そして、自由気ままだったヨディは、実は「母」の記憶・存在によって大きく制限を加えられた「不自由な鳥」として描き直される。

「強さ」と「弱さ」は見る角度が違うだけで実は同じものだということを、この作品はヨディに体現させている。

舞台裏

受賞

以上、1990年。

以上、1991年。

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